少子化について、思うところをそのまま書いてみます。専門家ではないので、あくまで一個人の感想です。
9月に公表された国の出生動向基本調査(2025年)で、18〜34歳の未婚者が希望する子どもの数は、男性1.30人、女性1.36人でした。どちらも過去最少です。「1人も望まない」と答えた人も3割を超え、2002年以降で初めてだそうです。
この数字を見て、私が最初に思ったのは、「意外ではないな」ということでした。
研修などで若手社員の方と話していると、男女・企業規模問わず「子どもは欲しい」という声は、いまも多い印象です。マイナビキャリアリサーチLabが本年1月に公表した調査でも、子どものいない20・30代の正社員の約6割が「子どもが欲しい」と答えています。理由を、2024年11月公表の日本財団の調査から探ると、「子育ての喜びや楽しみを経験したいから」(約5割)がかなりを占めています。この気持ちは自分たちの昔を振り返っても理解できます。
ただ、同じ方たちのうち、特に女性は、同時に出産後のキャリアへの不安も口にします。バリバリ出世を目指したいわけではないが、自分のためにも、子どもへの示しのためにも働き続けたい、でも、そもそも仕事を続けられるだろうか、と。また、男性・女性問わずに、1人でいいかなぁという声もよく耳にします。学校が別々になったら、イベント出席が大変、子どもが問題を起こしたときに大変など。働いている前提で考えると、やはり仕事の時間が削がれるリスクも並行して考えていて、その気持ちも充分に理解できました。
欲しい気持ちがなくなったわけではない。それでも、希望の数は、少しずつ小さくなっていく。その間にあるものは何なのか。お金の話もよく挙がりますが、私は、それだけではないような気がしています。
先ほどの日本財団の調査には、子どもを「持ちたくない・いなくてもよい」と答えた人に、その理由を聞いた項目もあります。いちばん多いのは「経済的な負担が大きいから」(約43%)で、「給与水準が低く経済的余裕がないから」(約28%)も別に挙がっています。お金の問題は、やはり大きいのです。
ただ、2番目に来るのは「自分の自由な時間や生活を優先したいから」(約37%)で、「出産・育児に自信がないから」「子どものしつけなどストレスが増えそうだから」(ともに約35%)と続きます。さらに、「子どもが健康に育つか不安だから」(約22%)、「子どもの将来を取り巻く社会に不安があるから」(約20%)も、5人に1人が挙げています。いずれも複数回答ですが、お金だけでは説明できない、いろいろな不安が重なっているようです。
もうひとつ、気になった数字があります。「自分のキャリアを優先したいから」は約9%にとどまり、「仕事と育児の両立が難しいから」は約19%と、その2倍以上でした。仕事を優先したいというよりも、両立できるかが不安という感じなのでしょう。
「リスクを避けているだけ」なのかもしれない
ちなみに、キャリアという視点ですと、研修の場で、管理職になりたいかどうかを聞くことがあります。男女問わず、どういう組織でも結構避ける傾向が強く、その理由としては、「労働時間が増え、責任ばかり大きくなる割に、板挟みのジレンマにさいなまれる」「少し指導しただけでハラスメントと言われ、何も声を掛けないと無責任と言われている上司をみて、とてもなりたいとは思わない」「自分のことで一杯一杯なのに、人のこと(部下)のことまで対応できる自信がない」といったような声をよく耳にします。
子どもを持つことも、これに近い感覚があるのかなぁと思っています。
子どもがいると、対応する時間が増えて、責任も大きくなります。そんな中で、自分は悪くないのに他の保護者から叱られたり、学校に相談したくても、先生方も働き方改革で連絡のつく時間が限られていたり。厳しく子どもに言えば「通報されるのでは」と不安になり、言わなければ「ご家庭でも指導を」と言われる。そう感じている親御さんは、少なくないのではないでしょうか。自分の仕事で一杯一杯なのに、子どもの将来まで考えろと言われても…。でも、変な風になられても困る。管理職の話とよく似ています。
さらにいえば、子ども中心の世の中になる中で、家庭の問題に以前よりは積極的に警察が介在してくる時代だと感じます。もちろん、暴力を肯定したいわけではありません。ただ、阿部慎之助さんのニュースのように、報道によれば口論が収まっていた状況でも現行犯逮捕になることがあるのを見て、「それで逮捕されるのか」と感じた人もいたのではないでしょうか。しかしながら、逮捕された人・容疑者に対する世間の見方は、昔も今もそれほど変わっていません。社会的な地位を失うリスクがここまで具体的に見えるなら、「だったら、子どもを持つという選択は外そう」と考える人が出てくるのも、わからなくはないのです。
つまり、子どもはほしい。育ててみたいし、かわいい存在だとも思う。自分も産んでもらったから、産みたい気持ちもある。ただ、ルールが増え、リスクも多い時代の中で、そのリスクを抱える数を最小限に留めようとしている人が、少なくないのではないか。私はそんなふうに感じています。
私たち夫婦も、同じ話をします
我が家でも、たまに話します。今の時代に結婚していたら、子どもを作っただろうか。2人も作っただろうか。正直、よくて1人だったのではないか、という話になります。
大人の生き方も子どもの生き方も、選択肢はたしかに増えました。学校を例にとっても、いろいろなタイプがあります。ただ、その一方で、ルールはむしろ増えているように思います。決められた枠から外れると生きにくい、という感覚は、昔より強いかもしれない。さらに、物価も上がり、教育費も大変です。もし障害のある子が生まれたら、仕事を辞めないといけないかもしれない。親にも頼れないかもしれない。そう考えていくと、少子化は自然の摂理のようにも思えてきます。
大学院時代の後輩に聞いたのですが、塩野七生さんの『ローマ人の物語』には、古代ローマでも少子化が問題になり、皇帝アウグストゥスが結婚や出産を促す法律を作った、という話が出てくるそうです。豊かで安定すると、子どもを持つことが「当たり前」ではなくなる。そういう流れは、いつの時代もあるのかもしれません。
それでも、私たちは、子どもが二人いてよかったと思っている
とはいえ、総論としては、子どもは二人いてよかったとは思っています。毎日毎時間、そうは思っていませんが。朝、学校に出て行ったら「静かだなぁ」って思いますし、夏休みになったら「誰かと遊びに行かないのか?無料のところへ」って思ったり。最近は物価高なのに、食べ盛りでもあるので、小遣いのコントロールが大変だったり。品行方正な子をみて、ああいう子だったらよかったなと思いつつも、自分の過去を振り返れば、何を贅沢な…と思ったり。まぁ、そういうことを考えられること自体が、楽しいことなのかなと思っています。
子どもが欲しい人、欲しくても持てない人、欲しくない人。いろいろな価値観があって、どれも認められてよいと思います。ただ、お金や形だけの環境整備では、なかなか子どもを産もうという気持ちにはなれないのではないか。私はそう感じています。




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