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「その数字は、ほんとに正確なの?」
これは、ES調査やCS調査の結果を報告する際に、よくいただくご質問です。たとえば、下記の2つの例をご覧ください。
- 日本の30歳男性全員の身長の平均値
- 日本の30歳男性全員の年収の平均値
同じ平均値でも1は結果に対する納得感が高いと思いますが、2は結果に対して納得する方と納得出来ない方がおられると思います。いろいろな理由があると思いますが、私は下記のように推察します。
- 身長のばらつきは一定の範囲で収まっており、平均値に近い身長の方が実感として多いと思えるから。
- 格差社会においては、年収に相当ばらつきがあり、平均値が実感として少ないと思えるから。
つまり、たとえ分析方法は数学的信頼性に問題ないとしても(計算間違いをしていない)、実感値がそのデータの心理的信頼性に大きく影響を与えてしまうのです。よく、ばらつきが大きいデータで平均値をとることは間違っているという専門家の方もおられますが、それは数学的に間違っているのではなく、心理的な納得感の観点で使わないほうがよいという意味だと考えています。
このように考えると、実感値とかけ離れた定量データはまったく役に立たないといっているように聞こえるかもしれません。ある意味そのとおりだと思っています。たとえば、会社でES調査をして、その結果を10人が見て、10人とも違和感を感じるようであれば、それは、分析過程で何らかのミスをしたか、採用した数学的手法では、心理的信頼性を担保できなかったということになるのでしょう。
では、定量化がただの実感の裏付けなら無駄なのではないか?というとそうではありません。私が考える定量化の目的は、
多くの人がそれぞれボヤッと頭の中で思っていた実感を組み合わせた結果が、定量値として示されていること
です。このように定量化すれば、多くの人が高い納得感をもち、そのデータを信頼するので、業務に役立つ調査となるのです。少なくとも、組織の多くの人はその数字を信頼性の高いものと捉えますから、一部の人達にとって信じたくないような結果がでても、言い訳の議論ではなく、改善の議論がしやすくなるのです。
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