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 組織の状態を定量的に分析してくれる診断ツールが、多くのコンサルティング会社から販売されていることはご存知でしょうか?組織調査・組織診断・アセスメントなどという言葉で検索すると、多くの診断ツールがヒットします。このようなツールは、経営者や人事の方に非常に好まれますが、やり方を失敗すると逆に痛い目に遭います。今回は、組織診断ツールの失敗しない活用方法について書きたいと思います。

 私は、前に所属していた会社で、組織診断ツールの開発に携わっており、私のクライアントだった企業にも使っていただいていました。ただ、それを活かせた企業と活かせなかった企業はハッキリと分かれました。活かせた企業は、下記のような特徴をもっていました。

  1. 調査実施前に、調査の目的・背景を回答者にたいして十分に共有した
  2. 調査において、匿名性を重視し、個人特定ができない環境をつくった
  3. 調査結果が悪かろうと、経営者がその結果を従業員に対して隠そうとしなかった(全社員にフィードバックした)
  4. 調査結果をただの数字の結果としてとらえず、その数字の背景にある行動実態について各現場で議論をした
  5. 他社と比較しようとせず、あくまで自社内での経年変化を重視していた

1については、多くの企業が手を抜きがちですが、非常に重要なことです。調査に対する本気度をみせなければ、回答者も本気にはなってくれません。いくつかのアンケートのひとつになってしまいます。

2については、回答責任という視点から、特定できるべきだという議論もありました。ただ、信頼感が十分ではない中で回答責任を問うことは、本音の回答を妨げることになり、問題が隠れてしまう要因になります。もちろん、システム的には一人が2回回答しても追跡できないという問題はありますが、どちらが重要かといえば、できるだけ多くの人に本音の回答をしていただくことです。

3~5は分析結果に対するの姿勢なわけですが、結果から目を背けない・数字はあくまでキッカケ・他社は他社、自社は自社という意識をもつことが診断ツールの結果を最大限に活かす方法です。誤解を恐れずにいいますが、ハッキリいって、どの診断ツールを使っても、見える問題はそう変わるものではありません。重要なのは、定量的な結果をそのまま受け止めず、その背景をきちんと議論できるか否かです。私もフィードバックされたデータに基づいて議論する場に数多く参加いたしましたが、その結果をもとに変化する現場としない現場には下記のような特徴の違いがありました。

 変化する現場変化しない現場
現場長の姿勢 自分の問題点などを真摯に考えている 結果が悪いときに、質問や評価方法のせいにし、悪い結果を書いた個人を特定しようとする
現場長の視点 数字の背景の事実・行動を考えている 数字だけしか見ていない
議論の焦点 自分たちの変えるべき行動 数字の算出方法(平均点だから結果が見えるわけがない、算出法に問題がある、など)、悪い評価をした人が誰かを探そうとする
議論の質 逃げないで、深い議論 目を背けようとして、表面上の議論
結果を見た後の行動 具体的な変化させるべき行動案がいくつも上がってくる 会社の方針やある個人のせいにして逃げきろうとする

 どの診断ツールを使おうと、結果をみたあとの姿勢が非常に重要です。決して安くない価格で実施するわけですから、実施すら前に、結果がわるかろうと逃げないという意思をきちんともっておくことが大切です。

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