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私が久留真家(くるまや)という、父が創業した宅配弁当店の経営にかかわるようになって8年になります。関わり始めたころは、まだまだレストランの料理を宅配するサービスは多くなく、ライドオンエクスプレスさんの「ファインダイン」やスターフェスティバルさんなどいくつかの会社さんが事業を拡大しようとしているところだったように認識しています。最近は、Uber Eatsのようなサービスも始まり、レストランの料理を宅配するサービスもだんだん大きな市場になっているようです。
つまり、「お弁当」の提供方法は、主に以下の3つがあって、お客さまは自分に合ったサービスを選んでいるわけです。
- レストランのお弁当を宅配代行して提供するお弁当
- 百貨店やお肉屋さんなどがやっている店頭販売のお弁当
- 宅配してもらえるお弁当(久留真家のような宅配店)
Uber Eatsが出始めたころは、当社も売上減を覚悟しました。出始めこそやや影響を受けましたが、現在は影響は皆無と言っていいほど棲み分けができています。これには理由があります。
- 当社のお弁当の価格帯は、多くのレストランのお弁当宅配とは異なること
- 当社の売上の大半は、個人様ではなく法人様であること
- 当社のお弁当は、冷めたときの味を意識していて、そのノウハウがあること
多くのレストランさんにとって、主力は当然店内提供であって、店外提供は売上の補完という考え方が基本です。ですから、ご飯の炊き方や品種、料理の素材の選び方などは、その場で食べておいしいものを選んでいます。しかし、我々宅配弁当店は、誤解を恐れずにいえば、「冷めてもおいしい」というところにこだわっています。ですから、正直に申し上げれば、提供したての味としてはレストランさんに負けると思います。ですが、冷めたときの味は、負けないことを常に意識しています。
もちろん、有名ラーメン店のカップラーメンのように、レストランの味をOEMとして宅配弁当用に仕立て直して提供するサービスもでています。このあたりはライバルになるかもしれませんが、多くは価格帯が異なると思うので、影響を受けることはないと思います。
当たり前ですが、私がかかわるようになったときに、「コンセプト」を明確にしました。戦略にかかわることですから詳細には書けませんが、顧客のニーズ・自社の元来持っている強みをベースに、市場の中のブルーオーシャン(比較的敵が少なく優位でいられる場所)を模索して、商品設計しています。レストランが参入することもおおむね想定内でしたし、レストランとの品質の違いを明確にしておけば、まず、競争になることはない自信もありました。
大切なのは、「餅は餅屋」という考えを常に中心に据えながら、市場ニーズを模索してサービスを設計することです。せっかく培ってきたノウハウを市場に合わせるため、売り上げを確保するために焦ってつぶしてしまう会社もたくさんあります。どの業界においても、弁当業界のように新規に類似業種から参入されることは珍しくないですが、「餅は餅屋」を中心に据えて考えを巡らせることがなにより大切だと考えます。
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