ファシリテータの役割 – 立場の弱い人の代弁をする

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 ファシリテータの役割については様々な記事や書籍がありますから、本記事では触れませんが、実際に私がファシリテーションをする際に意識していることの一つを取り上げたいと思います(ファシリテーションの役割をまず把握しておきたい方は、グロービス様:ファシリテーションとは?役割と必要なスキル、具体的なやり方あたりをご一読ください)。

 ファシリテータは、議論をする上で、基本的には中立である必要があります。しかし、それ以上に重要なのは議論の公平性と納得のいく合意形成に導くことだと考えています。すると、実務の上では、中立性を脇に置いて、一部の人の肩を持ち代弁したり、自分の意見を述べたりすることが結果的に公平性の担保、議論の質の向上、合意形成の可能性を高めることに繋がることがあります。

 具体的には、次のような場面でのファシリテーションです。

  • 役員と現場メンバーでの意見交換会
  • やや高圧的な上司・先輩がいるチームでの議論
  • 上司・先輩にモノをいうことがあり得ないという風土からの脱却を図っている企業における、あらゆる場面
  • 親会社と子会社の間でのバリューチェーンの質を高めるための意見交換会
  • 問題が発生した場面での問題発生部署メンバーと品質管理部門での議論

 一通り私が経験したものですが、要するに、立場の強弱がハッキリしているメンバーでの議論の場です。こういうときでも、セオリー通りのファシリテーションで進めますし、場を和らげる手は打ちますが、緊張感がある場になりがちなので、本質的にほぐれないことも多々あります。もちろん、立場の弱い人の中で、勇気を持って発言してくださる方がいると空気感は変わってきますが、そういう参加者からの”雰囲気の崩し”がないと、なかなか難しい場合があります。

  もちろん、こういった議論の場というのは、説教や追及の場ではありません。情報収集や問題の本質の追求の場です。意見が偏ることは最終的には不満に繋がり、うまくいかないこともあります。そういうときに、私は様々な形で、弱い立場を代弁、補足をします。

 こういった議論の場で概ね起きることは次のような現象です。

  • 強い立場の人たちしか発言していない状態になる。
  • 強い立場の人たちの発言がだんだん雑になってきて、批判的になってしまう。
  • 弱い立場の人が話しても、(周囲が気を遣って)話しが膨らまない。
  • 弱い立場の人が、下を向いて、ファシリテータから声を掛けても発言を控えてしまう

 このような状況では、ある程度粘り強く、強い立場の方々の発言を制し、弱い立場の方々が発言しやすいように、一定期間は黙って発言を聞くように促すことがあります。ここまでは一般的なファシリテータの役割に含まれます。しかし、これでも発言が生まれない、本質に迫っていないと感じた場合は、私自身が代弁することがあります。もちろん、その代弁が間違っていることもありますから、ある意味賭けではありますが…

 ただ、この賭けが当たっても外れても、それなりに効果があります。当たった場合は、その流れに乗じて肉付けをしてくださることが多いですし、外れた場合は、こちらからインタビューする形で、正しい回答を引き出すことができます。いずれにしても、呼び水になることは可能です。

 ファシリテータの役割を逸脱していると言われればそうかもしれませんが、私は、ある部分賭けにでて、本質的な合意形成を目指す、自分自身も一参加メンバーとして成果を共有したいという思いで関わります

 ファシリテータにも様々な個性がありますから、外部の方に依頼する場合は、スタイルについても確認すると良いと思います。

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