風土改革で、色々と意見を吸い上げた上で、改革方針を明確にして、ワーキンググループやタスクフォースを作って進めても、批判的な意見で、気持ちが萎えてしまう経験ありませんか?風土改革に中心的に関わったメンバーであれば、誰もが経験したことがあることだと思います。
批判的な意見が突きつけられると、
- やっぱり理解してもらえない
- なんで、私がこんなことを言われないといけないんだ?
- なにもしていないヤツに言われたくないよ…
こんな怒りとも哀しみと言える感情が沸き起こってくることもあるかもしれません。
ただ、必ずしも悪いことばかりではありません。改革ではどうしても誰かの既得権益や仕事のしかたに踏み込む必要があるので、そこに踏み込みつつある証左であったり、関心が高まっている証拠であったりするかもしれないからです。
とはいえ、このような批判。本当に意味のあるものばかりなのでしょうか?改革活動に対する批判について少し考えてみたいと思います。
声の大きい人の意見だけが聞こえてくる
組織の中でありがちなのは、良くも悪しくも、声の大きい人の意見が目立ってしまうこと。とりわけ、「特に不満はない」という人からは、なかなか声が上がってきません。
もちろん、エンゲージメント調査のように全体に対するアンケートをおこなえば、サイレント層の意見も拾える可能性はあります。とはいえ、自由記述だけのアンケートだと、声の大きい人の意見しか見えないこともありますが…
よって、特に調査や全員を対象とした個別ヒヤリングを実施しないのであれば、どうしても耳に入ってくる意見の偏りは悪い方向に大きくなりがちです。よい方向に偏ることは…改革初期ではあまり見かけません。ただ、応援的なメッセージが耳に入ることは多く、それは嬉しいですよね。
批判的な意見の本質を理解する
批判的な意見といっても、建設的なものもあれば、否定的なものもありますよね。ここれでは特に分類せず、発言者・提言者の分類だけしてみたいと思います。おおきく分けて3つのパターンがあります。
- 純粋に不満や懸念を抱えている人
- 具体的な課題を指摘し、建設的な提案を持っていることもある。
- 組織をより良くしたいという思いから発言している。
- 実は改革に深く関わりたいのに、その機会がなかった人
- 改革への強い関心と熱意を持っている。
- 熱意を汲み取ってもらえず、不服に思っていることから出てくる行動。
- 自分の意見と少しでも違えば反応的に文句を付ける人
- 建設的な提案よりも否定的な意見が中心
- 変化自体への抵抗感が強く、悪い意味で周囲を巻き込みがちな人
最初の2つのパターンは、適切に対応することで改革の推進力に変えられる可能性があります。3つ目のパターンについても、その背景にある不安や懸念を丁寧に聞き取ることで、安心感を持ってもらうことで、味方になってくれる自税も少なくありません。
特に3番目のタイプの型は、風土改革にかかわらず、業務全体においてこういう傾向にあり、社員から遠ざけられてしまっている、面従腹背状態になっている可能性もあります。風土改革メンバーにとっても、煙たいと思ってしまうこともあるかもしれませんが、丁寧に対応することで、組織の空気感が良くなることもあります。
明確なビジョンが道しるべになる
風土改革を成功させる秘訣は、とにかく明確なビジョンやコンセプトを持つことです。これがあれば、どんな意見が来ても、ブレずに対応できます。意外に、このあたりを時間がないからとサラッと定めた上で、アクションプランにこだわる企業さんも多いのですが、だいたい失敗します。
そしてここで重要なのは、ビジョンは「不変のもの」ではないということです。活動を進める中で、必要に応じて、社員の意見を取り入れつつ、柔軟に修正していく姿勢が大切です。これによって、より多くのメンバーの納得感を得ながら、目指すゴールに向かうことができます。
変えてよいことと、変えてはいけないことの境界線
とはいえ、やみくもに修正して良いというものではありません。社内の意見の中には対立する意見も多々あり、それをすべて反映することはできません。ビジョン・コンセプトの中にも変えてはいけない要素と変えても良い、変えた方が良い要素もあります。
この境界線をはっきりさせることで、柔軟に対応しながらも核となる部分はブレることなく、改革を進めることができます。
最後に
批判的な意見は、たしかに耳障りが悪く、嫌な気持ちになることもあります。ただ、好意的に捉えてくれている人は実は声に出していないだけかもしれないと考えることは大切です。
そして、そもそも批判的な意見も実は改革を成功に導くための貴重な材料です。それを活かすも殺すも、受け止め方次第。明確なビジョンを持ちつつ、柔軟な姿勢で対応することで、より良い組織づくりにつながっていくはずです。
そして何より、批判的な意見が出るということは、メンバーがその改革に関心を持っているという証。それは、風土改革を成功させる上で、とても心強い味方になるはずです。
コメント