中小企業白書から(社員のやりがいと会社の業績の関係)

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 中小企業白書という、毎年4月に中小企業庁より発行されている白書があります。この白書は購入することもできますが、無料でダウンロードすることもできます。この中小企業白書では、官民各種機関の調査に基づいて、いろいろな切り口から、中小企業を分析しています。われわれ、中小企業や小規模企業をコンサルティングする立場のものにとっては、状況を広く知る上で非常に重要な出版物です。

 今回のブログでは、社員のやりがいと会社の業績との関連性についてデータの視点に私の仮説を交えてご紹介したいと思います。まず、中小企業で働く正社員の中がやりがいを感じることが、業績にどのような影響をあたえるかということです。下図からもわかるように、やりがいが満たされているほど企業の収益は黒字傾向にあるようです。この点からも、やりがいを高めることというのは、非常に重要なことだとご理解いただけると思います。裏を返すと、どんなに立派な経営方針・戦略があっても、社員がやりがいを感じていない環境では、その戦略が十分に機能しない可能性が高いという風に考えられます。

 では、やりがいとは何か?これについては、第一に44%くらいの人が給与水準と考え、第二に仕事に対する達成感や自分の仕事に対する評価という風になっています。

ここで重要なポイントが2つあります。

  • 多くの人は社内的な地位にやりがいを求めていないということ
  • 給与水準だけが高ければよいと思っている人は案外少ないということ

具体的な例でいうと、たとえば、下記のような戦術はNGになります。

  • 結果を出した社員だけに昇給の権利がある
  • 退職したがっている社員の、不満が給与だと決めつける
  • 高給がが支払えないのでよい人材が集まってこないと決めつけている
  • 部下の仕事を口先だけで評価すれば、給与・褒賞など目に見える形にする必要はないと考えている
  • 年代・経験にしたがって、やれる仕事のイメージを決めつけていて、異質・異才を受け入れない

逆に、たとえば、下記のような戦術はOKになります。

  • 昇給・昇進・減給・降格における背景をきちんと伝える
  • 社員相互の仕事の過程を理解できる環境づくりをしている
  • 会社に価値がある異質・異才がする仕事を、一般社員が理解できる環境をつくる
  • 会社の人材評価に対する軸(どういう人材を求めているか?)を明確にする
  • 社員の日常の行動の中に知恵が眠っていると経営者が信じ、引き出していること

 会社を興した人間、経営者となった人間の多くは、結果がすべてという世界で暮らしていますから、「何を甘えたことを…」と思う方も多いと思います。ただ、誰もが経営者気質ではないことは理解するべきですし、経営者気質の人間ばかりでは組織が成立しないことも確かです。多くの従業員は、上記のような価値基準をもっているということを理解して、経営を組み立てることは、業績に大きく貢献すると考えています。

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