IT導入に組織風土の観点は不可欠

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 ITツールの導入を考えるときに、目に見えた経営課題に基づいて、その課題解決に貢献しうるITツールを探索し導入するという形が一般的かと思います。もちろんまちがっていないのですが、導入後に、そのツールが機能しないときは、組織文化とITツールの相性問題が絡んでいることも意外と多いのです。しかも、組織文化の問題ですから、社内の人間には目に見えて気づきにくいという特性を持っています。これは企業規模は一切関係ありません。大企業でも中小企業でも発生しています。

 まず、ITツールを導入し、システムの導入テストは終了したあと、運用時によくあるトラブルを挙げてみます。

  • 新しい業務プロセスと古い業務プロセスが並行して動いている
  • 新しい業務プロセスにした後、残業が増えて、そのままなかなか減らない
  • システムを導入してコスト削減を図ったものの、予定通りにコストが削減されない
  • 新しい業務プロセスをさらに良くしていこう、使いこなしていこうという空気が生まれてこない

このあたりが多いように感じます。特に一番上の項目はよく耳にしますし、実態も拝見します。さて、なぜこのような問題が起こるのか?これは下記のような原因が挙げられます。

  • そもそも、経営課題の設定の仕方が誤っていた
  • システムの選定や設計の際に、経営課題軸で考えるべきところがいつの間にか予算軸になってしまい、予算範囲内でいいものが作れたにもかかわらず、さらなる安さを追求してしまい、機能不足が深刻になった
  • 導入決定チームが、役員だけ・情報システム部門だけといったような、意見が同方向でまとまりやすいチーム形成になっていた
  • 現場のITの使いこなし度をはるかに超えるシステムを導入してしまった
  • 現場(もっとも利用する層)の声がまったく反映されていないシステムを導入した

私は、これらの問題のほとんどは、組織の文化・風土という視点を軽視したから起きていると考えています。導入前にただ一つ、下記のような準備をするだけで、IT運用レベルでの失敗は防げます。

導入プロジェクトチームが、現場の声にとことん向き合う覚悟ができている

なんだ、そんなことかと思う方もおられると思いますが、これは非常に難しいことです。もし、下記のようなことがあれば、それは危険サインです。

  • プロジェクト会議に参加しているメンバーが、代表としての意見ではなく、完全に自分だけの意見である
  • プロジェクト会議に参加しているメンバーによって、部の意見収集の深さにレベル差がありすぎる
  • プロジェクト会議が、互いの利を主張しあう議論になっている
  • 他の部署の害になってしまう(たとえば、システム導入によって全体としてはコストが落ちてもある特定の部署では若干負荷が生じる場合)ことには、誰も触れたがらない
  • プロジェクトリーダーが、全体像が理解出来ている気がしない

つまり、きちんと事実を表す意見が素直に表面化していて、会社の全体最適を考えて議論出来ているかということです。これは、組織風土が悪い企業ではなかなかしにくいことです。すなわち、組織風土の面で問題がある企業は、IT導入も失敗しやすいというふうに考えています。

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