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最近、若者奴隷時代という本を読みました。マンガなのですが、世代間格差社会について書かれているということを聞いていたので、前々から読みたいと考えていました。結論からいうと私は「世代を超えた絆」を訴えた素晴らしい良書だと思います。
良書といいたい根拠は3つあります。
- 高齢者に対する多くの考えへのアンチテーゼ(対照なもの)という側面をもっているので、高齢化社会について視野を広げる効果をもつこと。
- レビューには、高齢者批判と書いている人もいるが、実は、高齢者の中にも高齢者優遇社会に怒りをもっている人がいたり、若者の中にも今がよければそれでよいという意見が決して少なくないという世代内問題についても、(きちんと読めば)しっかりと取り上げている。決して一方向批判ではないということ。
- 感情論ではなく、述べる意見に沿うデータを提示しながら話が進んでいること。
たしかに、使っている言葉や表現をみると過激・不快と感じることもあるでしょう。ただ、この本にでてくる若者が表現している感情を私がもったことがないといえば、それはウソになります。自分は長く生きているんだから何をやってもいいんだ!的な考えの人とは、社内でも公道でもお目にかかります。そういうときには、本書に書かれているような感情は少なからずもちます。しかし、これは相手が高齢者だから憤るのではなく、相手が勘違い既得権を活用したワガママを言っているから腹がたつのです。ただ、これらの人に本当に手を焼いているのは社会全体・日本の未来を真剣に考えている同世代の方々だということは、ビジネスのあらゆる場面で感じますし、本書でも最後の方にきちんと描写されています。
本書は若者奴隷というタイトルですが、著者が述べたいことの本質は、世代を超えて(依存しあうのではなく)理解しあい協力することの大切さではないかと考えています。この点については著者インタビューからも読み取れます。高齢者に限らずどの世代にも、世代既得権を主張して異世代を十分に理解しないまま自分たちの枠組みでものを語る人はいます。また、こういう問題を話すと国の施策が悪いと他人事にする人もいます。私は、両方とも自分がよければそれでよい人間と思っています。ですが、もし自分にできることはないかと考えているのであれば身近に素晴らしい対象があります。それは、家族です。家族・親類のつながりを密にしながら、他世代を理解し、自分たちが協力できる状況をつくることは一個人にとって決して難しいことではありません。だれもが、そういう世代を超えて家族・親類の繋がりを大切にしていくことが、このような問題の解決の一番の近道だと考えています。
いままで書評はほとんど書かなかったのですが、多くの人に読んでもらいたい本なので、少しでも知ってもらえればと思い書かせていただきました。ぜひお読みください。
「若者奴隷」時代 “若肉老食(パラサイトシルバー)”社会の到来 (晋遊舎ムック) 新品価格 |
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