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最近、新版 日本永代蔵 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)という本を読みました。これは、簡単にいえば、江戸町人が富豪をめざした成功・失敗ストーリーの短編集のようなもの。私は古文がとくに苦手なので、現代語訳に頼ってしまいました。正直なところ、それでも読み込み切れていない部分がありますが…
そのような中でもっとも感じたのは、価値というものに対する捉え方。多少私の勝手な考え方も含まれますが、この時代の江戸の価値観として、基本がケチであろうがなかろうが、コレと思ったものには多少無理をしてでも大枚をはたくということがあったように感じます。まさに、「羽振りがよい」ということになるのかと思います。そういう意味でいうと、真に価値を感じたら、ある意味相手の提示する価値よりも「ケチなことを言うな!ほれ!とっとけ!」的な感じで対価を払う文化があったのではないかと推察します。
それと比べて、今の日本社会の多くの場面で起きている「とにかく安く、良いものを。」という空気は、文化・心の豊かさを発展させるという観点からいうと、非常に危機的なものを個人的には感じています。「お金が使えないから、心が貧しくなる」ということを聞きますが、私は違うと思っています。お金があろうがなかろうが、お互いが提供する商品・サービスや価値に対して、自分ががんばれる範囲+αで応えるという関係ができてこそ、お互い気持よく仕事ができると思っています。思っているというより、実際の顧客とのかかわりの中で実感しています(相手の方にどう思われているかまでは自信がないですが…)。
提供側が対価以上に提供価値を創出しようとし、受け側が提供価値以上に対価を支払おうとするという関係が成立すれば、非常に気持ち良く仕事ができるのではないでしょうか?人間ですから、誰とでもこういう関係は構築できないでしょう。ただ、こういう関係性が多くのところで生まれている社会が、豊かな社会なのではないかと最近思っています。2月に生まれる子供には、このような点を大切にして育ってほしいと思っています。
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