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「ものを言える環境にすることは大切か?」と質問をすると、ほとんどの人が「それは当然必要だ。」とおっしゃいます。では、「そういう環境になっていますか?」と聞くとどういう風に回答が返ってくるでしょうか?当社の実施した意識調査を紐解くと、ある一定の傾向があります。
上司も部下も「なっている!」と答えるところは本当に話しやすいことが多く、上司も部下も「どちらともいえない」という組織が一番話しにくい組織なのですが、上司と部下で回答傾向がズレる場合を見ていきたいと思います。
比較的ものを言える環境になっている会社は、上司が「なっていないかも…」と回答し、部下が「なっています!」と回答する傾向があります。比較的ものを言えない環境の会社は、上司が「なっている!」と回答し、部下が「なっていない…」と回答する傾向にあります。
言うまでもないのですが、「なっていないかも…」と考える上司は、常にみんなが能力を発揮できる環境になっているか?と常に考えながらマネジメントをしているわけです。当然ご自身のハードルが高いので、こういう質問に対して厳しく回答します。
一方、「なっている!」と自信をもって回答する上司は、「なっているべきだ」というべき論で考えている傾向があります。ものを言える環境にしていることと、ものを言えているかどうかは別なのです。ものを言えている環境になっているが、言うことがないから言っていないという風に考える傾向にあります。
「ものを言える環境にすること」はどういった目的なのでしょうか?もちろん、社員同士・上司と部下で話しやすい方が色々な意見が生まれやすいですし、メンタル面でも好影響があります。ただ、もう一つ大事なのはネガティブ要素の早期発見です。
当社に風土改革をしたいとご依頼をくださる企業様の背景として、「社外に向けて内部告発があった。今後は、問題が大きくなる前にきちんと社内で自浄作用が働く会社にしたい。」というものがあります。
よくよくお話を伺っていると、ものを言いにくい組織に共通しているのは、コミュニケーション上のタブーが多いことです。たとえば、部員が他の部員と共有するときは、必ず上司にCCを入れないといけない。普段の時間とずらして休憩をとるときは、上司の許可が必要など。管理しやすいようにタブーが多い点が共通しています一般的にものが言いにくい組織では、コロナ禍でもこの流れを踏襲していて、「リモートでは繋ぎっぱなしで顔は常に映すように」「1時間ごとにチャットに何か書き込むように」「休憩時間は出社時と同じようにするように」などなど。強引にルールを当てはめようとしています。
では、コミュニケーション上のルールは一切いらないのか?というとそういうことではありません。大事なのは、コミュニケーションのルールを適宜話し合いながら見直していくことです。実際、この記事の序盤で申し上げた、上司が「なっていないかも…」と回答し、部下が「なっています!」と回答する傾向にある会社は、上司が部下と話しながら、働きやすくただルーズにならないように一緒に決めていくということを大切にしています。
自組織の中に生まれているタブーというのは社歴が長いほど当たり前になってしまい気づかないものです。それが、社歴の浅い社員や若手には違和感を覚えるものである場合もあります。愚直な作業ではありますが、定期的に「おかしいコミュニケーションって何か?」という議論を噛ませていることで、社歴が長い社員にとっては当たり前になっていて、ギャップが生まれているタブーに気づく作業が重要です。
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