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1月31日。毎年、この日になると、小学校6年生の同日を思い出します。あまり緊張はしなかったのですが、なかなか寝付けなかった記憶はありますし、妙に自信があったように記憶しています。まぁ、これが落とし穴で第一志望は落ちたわけですが(笑)それでも私にとっては良い思い出です。しかし、その1年前の5年生の1月31日は、あんまりいい思い出がなくて、あと1年だぞ!!みたいな妙な空気が塾の友達の間でも流れていて、「まだ1年あるのに、何をギャーギャーと」と白けていたのを覚えています。そんな異常過熱感が、多くの人にとって、中学入試の悪印象にもつながっているのかなと思っています。
そもそも一般的にはどんなイメージがあるのでしょう?大人になって、クライアント先や仕事仲間とそんな話をすると、多くの人に「小さいうちから大変でしたね」「そんなに勉強が好きだったんですか?」「親御さんが教育熱心なんですね」「うわっ!ぼんぼん!」などと言われることが多いです。あえて悪い方ばかりを書きましたが、まぁ、あまり言い方をされることは少ないかもしれません。ずっと東京の渋谷区代々木で生活しているので、たまに地元の飲み屋で出身中学校の話になると、「ふーん。。。」みたいな、かなりお寒い空気が流れることもありました。
たしかに受験する学校次第では、普通の小学生には考えられない量の勉強をこなすわけですから、そういう意味では「異常」かもしれません。が、勉強自体が好きであれば、決して異常ではありません。それを言ったら、徹底的にサッカーや野球ばかりやっている子も、普通の小学生に比べれば圧倒的な練習量をこなしているわけですが、彼らは「異常」といわれることは基本的にはありません。
この背景には、勉強は「させられるもの」「させるもの」という固定観念が非常に強く根付いていると感じます。親同士で話していても、「うちの子は勉強しない!」「どうやったら勉強させられるんだ?」と、勉強にだけフォーカスをあてる会話が非常に多いです。詳しく書くとわかってしまうので詳細は控えますが、ある事柄があったとき、ある親御さんから、「冨山さんのところはどうしてあんなに勉強するの?(できるの?ではありません)」って聞かれたことがあります。そのときに、「色々な仕事の話とか、いろいろな中学校や大学の話とかしながら、一緒に学習計画を立てたら、自然とやってますよ。もちろん、手抜きはありますが。」と答えたら、「もともと、頭がいい子は違いますね。うちなんか、将来何になりたい?って聞いても、ユーチューバーとしか返ってこない。何考えているんだか!」というよくわからない答えが返ってきました。頭の良しあしは関係ないと思うし、ユーチューバーをなぜそんなにネガティブに考えるのか。。。そりゃ、子供が勉強しない理由もわかります。子供の考えに、まともに向き合ってないのでしょうから。
うまく表現できているかわかりませんが、多くの親御さんに「勉強という修行を乗り越えて、だれもがに誇らしい一流の大学を出て、だれもがに誇らしい安定した仕事についてこそ、一流だ!」という価値観があるように思います。この価値観だと、大人になったら勉強しない人が増えるわけですが、実際、風土改革で企業に関わっていると、本当に勉強しない人が多いことは実感しています。もっといえば、自分から勉強の種を探す方法が一切わからない人が実に多いことがわかります。実際、年を重ねるにつれて勉強は多種多様になっていきます(それに気づけば)。サラリーマンであれば、接待一つとっても勉強です。こんなものが勉強か?という人もいますが、やはり接待を深く考えている人は、舌を巻くほどに素晴らしい準備がなされていて、「いやぁ本当に勉強されているんだな」と敬服したこともあります。このような目の前の取り組むべきことの質を最大限に高める勉強もあれば、将来の自分の価値を高めるための勉強もあります。この両方の素地になるのは学生時代の科目勉強なわけです。そういう意味では、科目勉強を修業的であろうが、娯楽的であろうが、きっちり取り組んでおくことが大切なのですが、修業的に取り組んだ人はその辛さしか頭に残っておらず、大人になってから勉強しなくなる傾向が強くなっているように思います。実際、中学受験組の多くは修業的に取り組まされた人も多いんだろうなとは思います。いうまでもありませんが、私は親が勉強を無理にさせない方針であったことと、通っていた塾が、宿題が少なく、楽しく授業をする!がポリシーだったので、かなり娯楽的でした。
すなわち、中学受験が主観的にも客観的にも「つらいもの」と言われるゆえんは、「勉強はさせるもの」という価値観なんだろうと思っています。実際、「やらされている」中学受験はほんとうにつらいと思いますし、見ていても辛そうです。どこの大手塾とは言いませんが、そんなに宿題出して反復させて、将来にとって何の価値があるんだ?と思うこともあります。もともと勉強が好きで、難しいことに取り組みたいから中学受験をしたいといった子が、そんな環境の中、一気に勉強嫌いになった例もいくつか知っています。特に、「算数」好きの子を算数嫌いにするのは個人的には犯罪レベルです。難関校の算数は、スルメのように噛めば噛むほど味がある問題があって、問題の解き方は何パターンもあります。もっとも効率的なパターンを覚えるなんてもったいない。あれはあれで、数学では味わえない楽しさがあります。常識にとらわれない幅広い思考回路を作るという意味では、「算数」は非常に魅力的な教科です。中学受験はさておいても、個人的には、算数が楽しいと思う子には小学生のうちに算数を徹底的にやらせてあげてほしいと思います。
私は中学受験を通じて、「つらかったけど楽しかった!」という人が増えてくれればいいなと思っています。そのためには、子供自身が将来の目標や行きたい学校を意識して、勉強が意味のあるものにしてほしいと思います。そのためには、なにより、親自身が、子供の学校選びとか子供の勉強が教えられるようになる勉強とか、そういう勉強ではなく、自分自身のために勉強している姿を見せることが極めて重要だと思うのです。自分が勉強していないのに、子供に勉強を強いるというのは、まさに修業的発想です。自分はその修行から抜け出したんだから、おまえは頑張れ!って言っても、子供が前向きに勉強できるようにはなりません。会社の上司・部下だってそうですよね。勉強しない、考えない上司は評判が悪いものです。
いずれにしても、明日受験のお子さん、今年は首都圏は雪もなさそうですし、今日から試験が終わるまではできるだけ笑って、リラックスしてください!(^^)v
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