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先日、ある営業マンが、お客さまがほしがっている商品があるにもかかわらず、自分が売りたい商品を売りつけたいがために、あからさまに批判するという場面に出会いました。私のクライアント先での話なのですが、とある機材の置換えを考えていて、見積を仕入れ元に依頼していました。見積をもってくるときに、たまたま私もいたので、一緒に話を聞くことになりました。この見積を依頼したのは、A社の商品だったのですが、そのバックマージンがよくないらしくあまり扱いたくなかったようなのです。そこで、おそらくバックマージンがよいであろうB社の商品をすすめてきたのです。ここまでは当たり前の行動なのですが、問題はこの先です。A社の商品について、あることないこといって批判したわけです。
「A社の商品はたしかに有名ですが、納入したあとは、毎回業者がこないとメンテナンスできないらしく、メンテナンスコストが膨大らしいですよ。やめたほうがいいです。B社の商品のほうが、メンテナンスコストもかからないし、初期導入コストも安いです。こちらでどうですか?」
実は、社長が買いたいと考えていたA社の商品については、社長に依頼されて私が見本市に見学にいき、確かによさそうという実感をもっていました。少なくとも毎回業者がくるというのはありえません。いろいろと調べて悪い評判もないどころか、この機材をいれたところはたいてい売上が伸びているということも知っていました。ただ、ここで私が仕入れた情報と違うからといって、頭からこの営業マンを否定したところで、気まずくさせるだけで、前向きな効果は生みません。そこで、こう切り替えします。
「A社のことはわかりました。B社の製品について詳しく教えてもらえますか?」
彼が明らかに話したいと思っている情報についてとにかく話してもらいます。
「B社もA社も売れている商品なのですね。それはよくわかりました。A社の商品の悪いところをおしえていただいたわけですから、B社の商品の悪いところも教えてもらえますか?もちろんA社のよいところも。」
比較するのであれば、両方の商品の利点・欠点をだしてもらうことが大切です。ただそこは話したくなさそうに、B社の悪いところとA社の良いところについてはしどろもどろなわけです。
「代替品をすすめていただけるのは嬉しいですが、それならば、同じ土俵の上に並べて比較してください。」
と話したところ、買ってもらえないよりはよいと思ったらしく、実はA社のよいところのほうが圧倒的に多いということを話してくれたわけです。
そもそも、他社製品の悪口を根拠なくいう人は信用すべきではありませんが、付き合う必要がある場合もあります。私自身も付き合いたくないと思うことがありますが、どうしても付き合わなくてはいけないときがあります。ただ、彼らの多くは、よくよく話してみると、好きで他社の悪口を言っているわけではないのです。そういうふうに教えられて実践しているに過ぎないのです。上記のように、その営業マンがこのお客さんなら本音で言わないと取引してもらえないと思ってもらう状況をつくることが大切なのです。セールスマンにとって、マニュアル対応できないお客さんになることで、より努力をしてもらえるということは間違いありません。
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