この記事は、作成日から13年経過しています。内容が古い可能性があります。またこの記事は、大幅なデザイン変更前に書かれたものですので、レイアウトが崩れている可能性があります。ご了承ください。
2009年の末ごろから、私はとある零細企業A社の経営再建をするようになりました。いまは、資金繰りも安定して、顧客も増加し、取引のある金融機関からもお金を貸したいといっていただけるような大変良好な経営ができている会社ですが、一定の目処がついた2011年の8月決算まで、約1年半かかりました。経営者は私の父、業種は宅配弁当店です。身内ですから、倒産すれば自分にも何かが降り掛かってくる可能性があり他人事ではありません。ただ、気心が知れている一方、親子だからこそ感情的になり冷静な判断ができなくなったりすることもあります。そこで、私はあくまで一コンサルタントという立場は崩さずに費用も当社の規定でしっかりといただき仕事を進めることにしました。似た様な状況に陥っている零細企業・中小企業がたくさんあることはわかっています。そういう方が直接お読みになることはないかもしれませんが、間接的にであっても、そういう方々のお役に立てればと思い書くことにしました。すべてを文章化できるわけではありませんし、少なくとも、親子の感情的な会話は文章化しません(笑)
関わるときは、私はA社の仕事についてだいたいのことは知っていても、深くはしりませんでした。そこで、一時的に必要となる少額の資金を使途を明確にして投入し、その間に事業再建計画を立てる上で必要な材料をまとめていきました。だいたい一ヶ月くらいかかりましたが、その結果をまとめます。
まずは規模と沿革です(2009年12月現在)。
組織・業種 |
特例有限会社・宅配弁当 |
資本金 |
300万円 |
役員・従業員 |
役員は父と母。アルバイト3名。 |
概要 |
バブル経済の波に乗って業績を伸ばし、支店出店も見据えつつ1989年9月に法人化。しかしながら、バブル経済の崩壊と共に、売上は落ちていき、借り入れた資金の合計数千万が重しとなり、自転車操業化。
一方、味の評価は高く、ある程度固定的な法人顧客から、法人会議・残業時の夕食などの注文をいただくことが多く、法人受注が占める割合は大きい。裏を返せば、法人の移転・倒産による売上リスクが高かった。 |
強みと弱み(2009年12月現在)は下記のとおりです。
|
強み(好影響) |
弱み(悪影響) |
社内的要因 |
◯ 価格と味のバランスの評価が高い
◯ 細かい顧客の要望に応えられる
◯ 仕入れ努力が素晴らしく、原価率が低い |
◯ 有利子負債が多い
◯ 広告宣伝が下手でまったくおこなっていない
◯ ウェブの活用ができていない |
外部的要因 |
◯ 宅配需要は高まっている
◯ 法人需要が回復しつつある
◯ 中食(なかしょく)需要の拡大 |
◯ 店舗周辺から大手法人が減り、宅配平均距離が伸びている(宅配コストの上昇)
◯ 宅配弁当店が増えており、競合が増えている
◯ 昔は当然のごとくできていたチラシ配りが、警備強化などで難しくなっている |
飲食店を評価する際には、サービス(言葉の丁寧さ・対応の柔軟性など)と味。この2つの重要な要素を、提供価格と比較して顧客が満足するかどうかで決まると考えています。A社の場合、サービスは価格に見合ったレベルかやや低い程度。味は価格に見合ったレベルは超えていると考えました。これらの状況を踏まえつつ、売上を伸ばし、かつ、安定的に経営できる状態をつくるためには、下記のような改革をおこなわなければいけないと考えました。
- 店舗のコンセプトを明確にする
- ウェブを活用したA社の周知をおこなう
- 広告宣伝費を一定額計上し、継続的な広告宣伝をおこなう
- 商品の名称・価格を見直す
- 宅配エリアを整備する
- 仕入債務などの債務返済計画を立てる
- 売上が上がらないという前提での資金借入計画・返済計画を立てる
具体的には次の機会に書いていきたいと思います。
——————————————————–
A社:宅配弁当の久留真家(くるまや) →
http://www.bento-kurumaya.co.jp/
コメント